子育て中イライラするのは当たり前 2

2022年3月3日

人間は、もともと集団で子育てをするように進化している生き物です。核家族の少人数で子育てできるようにはできていません。親がキャパシティ以上に頑張りすぎると、どうしてもイライラが沸き上がります。イライラするなかでさらに頑張ることで、子どもや家族などの近い人への怒りが爆発してしまいます。

子どもが小さい頃は、「怒りを爆発させないために、何かできることはないか」と色々と調べたり考えたりしました。数を数えたり、深呼吸をしたり。しかし、いろいろ試した結果、正直「無理だ」と思いました。

それもそうです。この時の怒りは、「子育て中の生理的な怒り」に加えて、本来ならば複数で子育てをする種族の人間が、核家族の少人数で子育てをしなくてはならないという「生物としての子育てに対するミスマッチ」という根深い慢性的なストレス絡み合って起こることが原因です。この時期の怒りは、例えるならば自然災害のようなものです。これを個人の努力で何とかすることは、とてもつらいですし、やるべきことではありません。

では、子育て中の通常にするべき気持ちのコントロールとは何かというと「通常の気持ちを少し幸せな状態に上げておくこと」です。例えば、夕方、ぐずる子どもをあやしながら食事の準備をしているとします。バタバタして、気持ちが限界の時に、ようやくパートナーが仕事から帰ってきました。しかし、子どもを見ることも、家事もせずソファーで寝転んでスマホをいじり始めたとします。

これは怒りが爆発するシチュエーションです。「スマホ見ずに、子どもを見るか、食事の準備をして!」と、パートナーに切れても仕方がないでしょう。

しかし、もし、その日は子どもを預けて、自分の趣味や、友達と楽しい時間を一日過ごしていたとします。その日の夕方ならば、少しイラっとしても怒りの爆発までは至らないと思いませんか。

基本的に、子どもが突発的に泣いたり、パートナーの気が利かなかったりという(もちろん、子育てと家事の分業をきちんとした上での話ですが)他者の行動は自分で完全にコントロールすることができないことです。そして、「子育て中に怒りに陥ってしまった自分の気持ち」も自然災害のようなものでコントロールはできません。コントロールできないものはあきらめましょう。子育てでいっぱいいっぱいの時期にできないことをがんばって、さらに落ち込むよりも、コントロール可能な「普段の自分の気持ち」を意識することに集中しましょう。

心理学では気持ちを二つの軸でとらえる考え方があります。横軸が 快-不快。縦軸がテンションが高いー低いとします。そうすると、不快でテンションが低いところが悲しみ。不快でテンションが高いところは怒り。快でテンションが高いと喜び。快でテンションが低いと愛しい。それぞれの気持ちになります。

例えば夫がリビングでスマホを見ている時、不快に+5、テンション高いに+3ふれたとします。普段が少しイラっとするところにいると、気持ちは怒りに簡単に達してしまいます。しかし、普段の自分を少し快の所に-3としておくと、同じ不快+5、テンション+3の移動があっても、怒りの場所まで行きません。イライラしてもなんとか持ちこたえることができます。

気持ちのコントロールはいつもの気持ちを「少し快」に居続ける試みだと思うといいですね。イラっとしそうになったら、家事や育児を誰かにお願いする。先ほどの夫には「ちょっと、これ以上一人で子ども見ながら食事の準備したら切れる。どっちかやって」と伝えるのもいいですね。

お世話や家事を誰かに交代できるならする。限界ならば、自分は休む。出来るときは子連れでも自分の好きなことをする時間を持つ。

親の笑顔が自然に出る余裕を持つために、誰かの手を取り、生活を立て直すこと。それが、子どもにとっても親にとっても大切なことでしょう。

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