子育て中イライラするのは当たり前 1
第1子の子育て中、私はいつもイライラしていました。些細なことで夫や子どもに声を荒げてしまい「こんなにイライラするなんて私は何かおかしいのかな」と思いました。しかし、実は、子育て中に親がイライラすることは当たり前なことなのです。
母乳で子育てしている母親は通常よりも攻撃性が2倍になっているというアメリカの大学の研究があります。あなたがもし、子どもを母乳で育てているなら、イライラするのは生理的なものだと言えます。この「授乳中の母親のイライラ」は、人間だけでなくサル・ネズミ・ライオン・ネコ・ウサギ・魚など、多くの生物で見られます。これは生物に組み込まれた仕組みであると言ってもいいでしょう。
実は、産後の子育て中に、生物としての攻撃性が上がることに2つの利点があるからだと考えられています。
1つ目は、怒りがあることで恐怖に打ち勝つことです。野生動物なら、子育て中は敵に食べられてしまう危険が上がり、食料の調達も難しくなるでしょう。人間だって、初めての子どもを一人で見ろと言われると、何かあったときには怖い気持ちでいっぱいになってしまいます。恐ろしさに動けなくなることが当たり前かもしれません。
2つ目は、怒りによる自己主張の力で仲間の中での自分の地位を上げ、食料を多く得られる縄張りなどの子育てに有利な環境を得るためです。今の社会に当てはめて考えると、子育てを母親一人でするのではなく、家族や親せき、友達、地域などにできるだけ多くのところから助けてもらう体制を作るためのパワーを出すための力にするものなのかもしれません。
では、授乳が終われば怒りが収まるのでしょうか。でも、現実はそんなことはありません。
私は、一人目の子育ては夫が全力で手助けしてくれ、小規模の保育園の後に入った幼稚園のお預かりも、フル活用していたのですが常時イライラしていました。
しかし、子どもが小学校に上がったある日、驚くほど気持ちが楽になり、ほとんど怒らなくなりました。今考えると子どもを送り迎えすることが、私にとって実は地味だけれども大きな負荷だったようで、それがなくなることで精神的にかなり楽になりました。
その後、子育て支援の仕事をしていた時に、親御さんたちに子育て中のイライラについて聞いてみたのですが、やんちゃな男の子を育てている親御さんは、小学校に上がってもずっとイライラしていたり。4人の子どもを育てているベテランの親御さんは「一人目から途切れなく、もう10年近く、ずっと保育園にいる。イライラがなくなった覚えがありません」と、個人差はもちろんありますが、子育てに向き合う多くの親御さんが長い期間イライラしている現実が見えてきました。
子どもは本当にかわいらしいのですが、子どもがいると仕事も生活も自分のペースですることができません。その場では大丈夫だと思っても、毎日ずっと続くとなると耐えられない気持ちになる親は、私も含めて多くいるのです。
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